多くの人が片栗粉はカタクリという植物から作られると聞いたことがあるでしょう。
しかし、実際のところはどうなのでしょうか。
本物の片栗粉とは何か、市販の片栗粉とどう違うのか、そして本物の片栗粉を入手することは可能なのでしょうか。
この記事では、片栗粉の原料や違いについて詳しく解説していきます。
市販の片栗粉の原料は？本来の片栗粉との違い
片栗粉は元々、ユリ科の植物「カタクリ」の根から採れるデンプンを使って製造されていました。
しかし、日本国内でのカタクリの減少により、そのデンプンを片栗粉として生産することが困難になりました。
そのため、代替として馬鈴薯（ジャガイモ）のデンプンが一般的に使用されるようになったのです。
現在、スーパーマーケットなどで販売されている片栗粉のほとんどが、この馬鈴薯由来のデンプンを使用しています。
また、一部にはサツマイモを原料とする片栗粉も存在しますが、大多数の商品は馬鈴薯を原料としています。
購入する際には、パッケージに「馬鈴薯でん粉」と記載されていることが多いため、確認してみると良いでしょう。
本物の片栗粉は今も販売されているのか
昔は、カタクリの根から採れた本物の片栗粉が市場で流通していました。
しかし、現在ではそのような本物の片栗粉を見つけることは非常に稀です。
市販されている片栗粉のほとんどが馬鈴薯由来であり、一般のスーパーマーケットで本物の片栗粉を見かけることはほぼありません。
さらに、インターネットの通販サイトでも、カタクリから採れるデンプンを使用した片栗粉を見つけるのは極めて困難な状況です。
一部の薬局や専門店では、漢方薬としてカタクリのデンプンが販売されていることもあります。
しかし、これらは日常的な調理用途には適していない場合が多く、入手も容易ではありません。
本物の片栗粉と市販品、味や使い心地に違いはあるのか
本物の片栗粉を使用した料理と馬鈴薯由来の片栗粉を使った料理では、大きな味の違いはないと言われています。
どちらもとろみ付けに使用され、同様の調理方法で使うことができます。
ただし、カタクリのデンプンは馬鈴薯のデンプンよりも粘り気が強い傾向があるため、仕上がりに微妙な違いが生じることもあります。
デンプンは消化に良い食材として知られており、昔から体調を崩した際には片栗粉をお湯に溶いて飲む習慣がありました。
先人たちはこのような方法で栄養を補給し、体力の回復を図っていたようです。
本物の片栗粉を手に入れる方法
現在、本物の片栗粉を入手するのは非常に困難です。
しかし、自分でカタクリを育てて根からデンプンを採取するという方法も考えられます。
カタクリの根をすりおろし、デンプンを抽出して乾燥させるという工程が必要になりますが、この作業には多くの手間と時間がかかります。
さらに、カタクリの花が咲くまでには7～8年もの時間を要するため、実際に片栗粉を自作するには長期的な忍耐が求められます。
市販品では手に入らないことから、家庭で栽培したカタクリから自作してみるのも一つの選択肢です。
しかし、カタクリは観賞用としても非常に美しい花を咲かせます。
根から片栗粉を作ることにこだわるよりも、花の美しさを楽しむために育てるのもおすすめの方法です。
カタクリの栽培と観賞を楽しもう
カタクリの花は日本各地に自生しており、薄紅色の花びらがそり返った姿が非常に魅力的です。
カタクリを育てる場合、園芸店やインターネットの通販で苗や球根を購入することができます。
ただし、花を咲かせるまでには数年の時間がかかるため、長期間の栽培を楽しむ心構えが必要です。
また、地域によっては、カタクリの花や茎、葉をお浸しとして食べる文化も残っています。
花や茎は少量であれば食用としても楽しむことができますが、過剰摂取には注意が必要です。
興味がある方は、栽培したカタクリで日本古来の味わいを体験してみるのも良いかもしれません。
本物の片栗粉の歴史や現状を知ることで、片栗粉に対する理解がより深まったのではないでしょうか。
カタクリの花の栽培を通じて、片栗粉の本来の姿を身近に感じる機会を持つことができるかもしれません。
日本の伝統的な食文化や植物の多様性について考えるきっかけにもなるでしょう。